教育理念 -松下村塾- | 留学 虎の巻  -TIGER's Blog-

教育理念 -松下村塾-

吉田松陰と言えば、幕末紀、長州(今の山口県)にて松下村塾を開き、高杉晋作、山形有朋、伊藤博文など明治維新の立役者となり、明治の政界を担う若者を多く輩出した人物である。
奇しくも、尊皇攘夷思想による幕府批判によって処刑され、彼は30年という短い生涯を閉じた。


しかし、彼の思想は今も尚語り継がれ、現代の社会にも通じるものを理想としている。


松下村塾の教育理念は「人たる所以を学ぶこと」である。
つまり、「人は学んだことをどう実行するかが大切である」と言う意味だ。


その中でも、特におもしろいと感じたのは、このエピソードである。


桂小五郎と言う人物をご存知だろうか?後の木戸孝允である。
彼は、塾に入った頃からの秀才で、特に詩の才能に秀でていた。
毎日書物を読み、考えにふける塾生活を送る。行動派ではない。


塾長松蔭は小五郎にこう言う。


「学問も大事だが、知ってかつ実行するのが男子の道である。詩もおもしろいが書斎で詩を作っているだけではつまらない。男子たるものは、自分の人生を一遍の詩にすることが大事だ。楠木正成は一行の詩も作らなかったが、彼の人生はそのまま比類なき大詩編でないか。」


この一言で、小五郎は目を覚ますことになる。
何を学ぶかではなく、何を学びどう行動するか、が真の学問の道なのだと。
これ以来、小五郎は積極的な行動家となり、明治維新に大きく貢献することになる。


学問を学ぶこともとても大事である。
しかし、もっとも重要なものは、いかにそれを実社会で運用するかでないだろうか。


100年経っても、物事の本質は変わらない。
この挿話はそのことを実に端的に教えてくれている。


自分の人生を、一つの詩編にするという壮大なテーマ

なんと心躍るものだろうか。



(※男子という言葉は当時の武士社会に反映されています。男子を「人」と置き換えればしっくりするかもしれません。

※楠木正成は、鎌倉時代の名武将です。)



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