留学 Vol. 2
何を思ったか、学校へ行く気も失せてしまって、1週間くらい行かないときもあった。
当然友人たちは心配してくれ、先生方もどうしたのか、と声をかけてくれる。
思えば、あの頃が一番多感だった気がする。
触れるものすべてに感情をむき出しにしてぶつかった。
今まで当たり前と思っていたものが、そうでないとわかった時だから、
ひどく混乱していたのかもしれない。
金はないから、書店で並んでいる新書なんて手が出ない。
僕の読む本は、専ら図書館にある本か、
近くの古本屋にある10冊くらい束になった100円で買えるぼろぼろの本。
だから、いつも1年か2年か前に出版されたもの、
それか手垢のついた薄汚い本を手にとることになる。
でも、本というものは普遍性があるもので、新しいものはいつまでも新しく、
心が沸き立つものはいつの時代もかわらないんじゃないかと思った。
ちょうど、シェイクスピアがいつの時代もシェイクスピアであるようなことだろうか?
(彼の著作をそこまで読んでいるわけではないので、もの知り顔に言える立場ではないけど)
市立図書館にある古ぼけた棚にある本も、おもしろそうな本は読んでしまった。
以前、僕に与えてくれたような興奮はないのかと、少し残念だった。
ところがある時、そんな図書館にもビジネス専門のコーナーができた。
一風変わった、アルミの真新しい本棚。
興味半分で、覗いてみる。
経済・経営学、P.F.ドラッガー、MBA、ビル・ゲイツ・・・。
なんだか聞いたことのあるようでないような文字がならんでいる。
とりあえず、誰でも知ってるビル・ゲイツの本を取る。
・・・・こりゃあ、おもしろい。
彼に対する批判は多いが、経営スピリット・考え方。そして彼を支える周りの人間。
彼の創業当時から、インタビュー形式で進むその本は“real”だった。
資本主義社会にうごめく、汚い生き物や障壁。
それを感じるには十分の本だった。
それからというもの、頭の中にはbusiness一色だった。
経済学入門書、MBA取得者の経営指南書、ある社長の体験談。
色々なものに手を出し、中には無駄なものも多かった。
そこに、また僕の人生観を変える本と出合う。
「スーパーベンチャー戦略 -21世紀の未来戦略- 」
Stanford Universityの独立機関で研究する筆者の本だった。
熱く冷静な語り口で、彼はbusinessとはいかなるものか、ventureはいかに起こすかを述べる。
多くの場合、こう言った本はeconomist達による、
こうこうすれば成功するだの、私だったらこうするだの言う理論的には秀でたものであるが、
現実とは結びつかないある種滑稽なものが大半である。
でも、彼は違った。
「私は今からでもベンチャーを起ち上げたい。しかし、その一歩を踏み出す勇気がないんだ。
私には妻も子もいる。それ故に、ベンチャーを起こす方々に心の底から敬意を表する」
これが彼の言葉だった。
どこか人間味のあるこの発言に、この人は本物だと感じた。
テレビや新聞に登場する「自称エコノミスト」たちとはこの人は違う。
彼にbusinessの奥深さを教えてもらった。そして楽しさと厳しさも。
この時、僕は将来businessをする人間だと再確認した。
幼い頃、竜馬に憧れていたのは本当の自分だった。
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